決定的に駄目な所は無いし、良い所も結構あるんだが、それ以上に問題の多い話である。色々と言いたい事があるが、とりあえず世界設定をもう少ししっかり作れと言いたい。設定が過剰でストーリーがそれに引き回されている話が世の中には結構あるので、「設定などストーリーに必要な分だけで充分」と言うのが持論だが、この話の場合ストーリーに必要な分さえないので逆方向に批判せざるを得ない。
架空世界なんだが特にファンタジー要素は無し。その割には主人公たちは人間離れした能力で飛んだり跳ねたり。更には男女入り乱れてガチで殴り合いをするが、大怪我するやつとかは出ない。仕方ないんでコメディ空間なんだろうと納得しようとすると、唐突にシビアな話をされる。リアリティレベルがあやふやだ。だったらいっそ、「この世界の貴族は異能力者や超人で、その子弟である主人公たちは特別な学校に通っている」とでもしとけばいいのに。その方が余程理論整然とする。
低予算低クオリティアニメだったら、「こんなもんだろう」で流せたんだけどねえ。あからさまに豪華なキャストと何気に優秀なスタッフが揃っているので、そうもいかなくなってしまった。
どうなんだろう。アニメ化する際に何か大切なものを落としてきてしまったのだろうか――よくある事だ――。それとも、アニメになる事で欠点が顕著になってしまったのだろうか――もっとよくある事だ――。どちらにせよ、原作者や原作のファンにとっては、アニメ化は実は災難だったのではないだろうか。