視聴を人に薦めたくなる類いの面白さだった。と言うか、言葉にしづらい面白さなので、実際に見てもらうしかない。特に「荷物」のくだりの「女の子としては正しいが兵隊としてはダメダメ」なカナタたちと、「兵隊としては正しいが年頃のお嬢さんとしてはちょっと……」なリオの様は、台詞回しも台詞以外による掛け合いも表情の付け方も絶妙すぎるので、逆に言葉では説明できない。
それにしても、いい具合にはっちゃけていたなあ。当初からかなりしっかりした作りのアニメだったが、その分「硬さ」が感じられた。しかし今回は、肩の力が抜けた気楽な笑いがあった。メインキャラの紹介が一段落付いたから出来る事だろう。
ただし、一話丸々それだけだったら笑うに笑えなかった。馬鹿話を思いっきりやりつつも、その一方で世界の様をきちんと描いて最後はいい話として手堅くまとめている。だから、見返しても存分に笑えるのだ。
ただ、世界の状況に関しては上手く腑に落ちてくれない感があった。これは視点の役割りを担うキャラがいないためか。どちらかというと無知である主人公のカナタでさえも、視聴者よりは世界の現状に詳しい。彼女たちは視聴者と一緒に世界を見る者では必ずしもなく、場合によっては見られる世界の一部となる――むしろその方が多いか――。どの程度、彼女たちに寄り添って見るべきなのかがわかりづらいので、世界の状況がどのくらいひどいのか認識しづらい。
主人公たちの認識と客観的な事実の間に明確な食い違いがある場合は、(おそらく作り手が狙ったように)しっくり来るんだけどね。クラウスに対する評価なんかがそう。パンツ一丁でだらけている姿が挟まっているので、その前後で描かれるクラウス・ラブなクレハの様が微笑ましく見れる。あれが本当に石塚運昇声の「プロフェッショナル軍人=世の中でもっとも立派な人」だったらかなりうんざりさせられただろう。ここら辺のバランス感覚は毎度の事ながら流石だ。あと、ミリオタの幻想を(適度に)ぶち壊す辺りも毎度の事ながら流石だ。