今期は良いとも悪いとも言いにくいアニメが多かった。
このアニメに関しては中途半端に出来が良かったので、逆に困った。近々コンシューマ移植される原作ゲームの宣伝用アニメだから、もっと安っぽい出来だったら、「まあ、こんなもんだろう」で済ます事が出来たんだが。なまじクオリティが高い所で安定していたので、「もうちょっと」がほしくなって落ち着かない気分になってしまった。
序盤から中盤にかけての、世界やキャラを魅力的に描く辺りは良く出来ていたと思うのだが、そこから終盤の展開に上手く繋がって行かなかった。終盤は色々と盛り上がる展開のはずなのだが、そこに至るまでの各人の事情や内面が描ききれていないので、臨場感があまり無かった。
そもそも1クールというのに無理があったのだろう。この手の話は先に「平和で楽しい日常」をしっかり描いておかないと、世界=日常が崩壊するという危機感を(登場人物と視聴者で)共有できないからな。2クールだとだれる部分あるだろうが、それはしょうがない。むしろ少しだれるぐらいでいい。
逆に1クールで作るならば無理に最後までやるよりも、世界やキャラをきっちり描く事に専念した上で本題に入りそうな所で止めて置く方が上策だった。上手く行けば第2期が作れるし、そこまで行かなくてもゲームの宣伝には、むしろなる。真相から結末まで全部描いてしまっては、原作に興味を持たせる所までは持って行けても、実際にプレイする所までは持って行けないだろう。少なくとも私は、既知の結末に行く為に長時間パソコンの前に座ったり、携帯ゲーム機を握ったりする気には、あまりなれない。
なんにせよ、問題は作る段階ではなく作らせる段階、作る人達ではなく作らせる人達にあるから、現場スタッフにあまり罪は無い。非難するとすれば、企画とか計画とかの責任者であろう。むしろ商売的な意味での失策であるから、そういうポジションにいる人たちにとっては「ひどい内容だが良く売れた」製品を作るよりも罪深い事なのではないだろうか。