甲洋があっさりダメ人間に――いや、元々結構ダメな奴ではあったようだが――。翔子が死ぬ事で、元々あった一騎に対する嫉妬に正当性が出来たと言う事だろう。あの場合悪いのは指揮を執っていた方なのだが。同じ事は整備員達に言える事で、パイロットの墓に八つ当たりしてどうする。まあ、総士がそれだけ狡猾だと言う事か。さり気なく自分が恨まれないように仕向けている。もっともそうやって組織内の派閥抗争をやっている暇があるのかねえ。
そう言った諸々の事も含めて、連中の無能さにはイライラする。倫理的な問題はこの際どうだっていい。むしろ能力的な問題だ。子供を戦わせると言うのならそれなりのノウハウがあるはずだろう。春日井夫妻のあり様はそれでそれで一つの正しさだと思う――もっとも結果を出せないからダメなんだが――。
根本的にどいつもこいつも自分の感情が制御できていない。これで勝とうと言うのは無理がある。それ以前にそもそも本気で勝つ気、生き残る気があるのかどうか。この話に出てくる人間達が死んでも、あまり悲劇にならない。懸命に生きている人間が死ぬから悲劇なのだから。
それはともかく、主人公の影が薄いのは狙ってやっている事なのか。