学園ドラマな部分が早くも終了してしまったように見えるのだが、いいのかそれで。まだ登場していないキャラが一人居るのに。OP詐欺になってしまう予感がひしひしと。
これに限らず今回は「流石ですね、シナリオを飛ばしますか。ただ、少し急ぎ過ぎでは」と言いたくなる展開が多かった。主人公(集)とヒロイン(いのり)のドラマとして見ても、高いと思われていたハードルを早々にあっさりと越えてしまったし。
「いのりの集に対する気持ちが涯に対する依存心を越える」という展開は確かに期待していた物だし、実際に見てて心地良い物だったが、出来が良かっただけに「もう少し場が整ってからやった方が良くなかったか」とも思わずにいられない。主人公に感情移入すれば確かに感動的だが、客観的状況がわからないので逆に安易に感情移入することが躊躇われてしまう。
世間的にはどう認識されているのか。主人公である集はどこまで知っているのか。知っている事に対してどう思っているのか。また、新事実を知った時にどう感じたのか。そういった事をきっちり揃えといてもらいたいのだが、桜満集という主人公が物事に対して疑問を抱かず、あっさり受け入れてしまうタイプである事もあって、実際には揃っていない。
そもそも本編だけだと基礎的な情報が決定的に不足している。フォートの住人の是非について論じていたが、そもそも「フォートとは何か」が公式HPを見てやっとわかるありさまだ。「恙神涯、十七歳」という情報でさえ本編中では明かされていない。これを知っているか知っていないかで印象がガラリと変わると言うのに。
その事実を知っていると、今回の彼氏の微妙な失敗は「若さが出たな」になる。まあ、これも早すぎる展開の一つではあるんだが。いずれはこけるだろうけど、しばらくは快進撃が続くと思っていた。嘘界少佐も、前のグエン少佐よりは遥に手強いだろうが、それでも基本的に引き立て役になると思っていた。まさか涯の方が嘘界の引き立て役になるとは。
実際、今回は美味しい所の半分ぐらいは嘘界が持って行った。「汚い、大人は汚い」と言いたくなるような事ばかりしていたが、それがエレガントなので参る。罪悪感など持ち合わせていないくせに、他人の罪悪感を刺激するすべは心得ているのが恐くもあり、見事でもある――今日の教訓「自分を信じろ、と言う人間に気を付けなさい、と言う人間に気を付けなさい」――。どうせ、あのペン型発信機もボタンなんか押さなくても居場所を知らせるようになっているのだろう――あるいは逆に発信機というのは嘘でただのペンか――。
嘘界と涯の勝負、とりあえずは嘘界の1点先取といった所か。この状況になってしまうと発信機に気付くかどうかは技術的な問題になってくるから、涯が気付く余地は少ない。むしろ、ツグミの戦いになる。まあ既にして「毎度の事」だ。
第2話の時も今回も、涯の作戦はツグミの能力に依存する部分が大きい。有能な人員を集めて活用するのも指揮官の器量ではあるのだが、天才的なのが一人いると印象が微妙になってくる。「ほとんど横にいるスーパーハカーのお陰」と書くと、なんだかどこぞの厨二病主人公みたいだ。いやまあ、あちらもあちらで世が世なら――世界線が世界線なら――レジスタンスの指導者なのだが。