新刊を読んだ。
先輩となった主人公たちの姿とかは見たいので続編には期待していたが、三冊で綺麗に終わったから(外伝とかはともかく)続編は書かない方がいいんじゃないかなあ、とも思っていた。しかし、どうやら杞憂だったようだ。感動が台無しになるような事が無い一方で、同じ事の繰り返しにもなっていない。順当に世界が広がっている。まだ下巻があるので結論は出せないが、とりあえずは「良し」と言っていいだろう。
ただ、このシリーズの出来が良いと、どうしてもアニメの出来の悪さを蒸し返したくなる。序盤からちぐはぐだったからな。原作を先に読んで違和感を覚えたのなら「それは見ている方の(個人的な)問題」と考える事も出来るが、アニメだけ見ててちぐはぐに感じたんだから、作品の方の問題と言うしかない。その後で原作を読むとその違和感が払拭されるんだから尚更。
アニメにする際に話をいじるのは構わないが、それは原作を読み込んで「わかった上で」やった場合だ。理解する手間を端折って、ただ「いつも通り」にやっているだけなのが見え見えだし、実際に出来上がったものがちぐはぐなんだから、とても許容できない。変えた事で良くなった事が無い訳でもないが、収支は明らかにマイナスだ。場当たり的にやっているから後で矛盾とか出て面倒な事になるし。
年がら年中、次から次にアニメを作らなければならないから、一つの作品に深く入れ込む余裕がないのはわかる。だからといってここまで自分たちの既存の枠組みに押し込むようにせんでも。そこで、「いい機会だから枠を広げよう」ぐらいに考えないと、クリエーターとしては危ういと思うんだが――客の方が枠からはみ出ない事を望んでいるから、どうしようもないのかもしれないが――。
むしろ原作の方がアニメを梃子にして枠を広げているようだ。とりあえず、アニメオリジナルキャラを逆輸入している辺りに良い意味での貪欲さが感じられる。若いっていいなあ。
アニメは今一な作品だと思うし、この先にも期待しない。でも、この小説に出会うきっかけを作ってくれた事と原作(者)に刺激を与えてくれる事には感謝するべきなのかもしれない。