最後の最後に来て、セラン一人が美味しい所を全部持っていった。パムやソーマはもちろん、ポポでさえあまりいいとこなし。誰が主人公だかわかったもんじゃない。
もっとも、ポポが不甲斐ないのはむしろ戦いが終わった後の方だから、セランがどうとかという問題でもない。なぜポポは、故郷に帰る時にパムを連れて行かなかったのか。そこさえしっかり押さえておけば、とりあえずは納得したのに。どうせパムはポポの森に行くのに、何故そこでわざわざ回り道をさせるんだろう。
母子の再会に異分子を入れたくなかった。そういう事なのだろうか。なんだかそこまでして母子の関係を優先されると、逆に反発を感じてしまう。それはソーマに関しても同じこと。
あそこまで盛大に何もかも無くしたのなら、ソーマには一人で生きていくようにさせるべきだ。そうじゃないんならセランと一緒に旅立たせるべきだった。少なくとも生き返った母親と一緒にするべきではない。彼女に振られて母親の下に帰るというのでは、あまりに情けなさすぎる――そもそもセランとソーマの関係は、どちらかというとセランの側からの一方的なものだったはずなのに。何時の間にやら逆になっている――。
当初、主人公であるポポは「母親にとって理想的な子供(息子)」として出来上がっていたが、そこから成長して、言い換えれば子供として出来上がっている状態を崩して、一人の大人になっていった。何時まで経っても「子供」としてしか存在できないと、逆に理想と反対になってしまうから、それは当然の流れだ。
それなのに最後の最後で成長がリセットされ、また子供に戻ってしまった。結局、ポポもソーマも親離れに失敗したという事か。一年間かけてきた事が、まるで意味が無かったように見えてしまう最終回であった。
しかしこのアニメ、半分すぎた辺りから迷走しだして、結局最後も上手くまとまらなかった。始まった頃はかなり面白かっただけに尚のこと失望も大きい。
いやまあ、面白い事を最初の方であらかたやってしまったから、こうなってしまったんだけどね、うん。特にプゥとデーを3話で殺したのは、いくらなんでも早すぎた。そりゃ、早々にレギュラー(だと思われた)キャラを見事に殺す、あの思い切りの良さが客を引き付けたのは確かだ。しかし、そういう事は山のようにネタを持っている場合にのみ許される事だ。引き出しがあまり無いのなら、大人しく1クールの間ぐらいは生かしておくべきだった。
他にも色々あるが、美味しいネタは2クールぐらいまでにやってしまったので、後半戦はしょうもない展開で話数を潰す結果になった。一年もあるんだからもう少し計画的に話を作ってもらいたいのものだ。
もっとも、パムの足の輪っかが割れてからしばらくの展開は本当に急なので、あるいは何らかの方針転換があったのかもしれない。実際、そう考えた方がしっくり来る面も多い。もし、上の方からのお達しでそういう事になったのだとしたら、スタッフが少し可哀想だ。
まあ、本当にそうだったとしてもそういった事情が明らかにされる事はまずないので、結局は「かもしれない」のレベルを超える事はないのだが。