ハルヒの自分語りに少しげんなり。今更それかい。
いやまあ、本来なら5話だから「今更」と言うような事でもないんだけどね。本来の順番でやっていれば、ここでこういう事が語られるのはむしろ順当。語られている内容も、青春小説におけるテーマとしては王道と言っていいものだ。放映順に変な小細工さえされていなければ、ここまでマイナス印象を受けるものではなかっただろう。
もっとも、そこら辺の事情を差っ引けば全肯定できるという訳でもない。正しい順番通りに話を見ても、やはり抵抗感を感じる部分はいくらかある。
ここでハルヒが語ったような事は若い時分に多くの人間が感じる事だ。そういう事を正面から取り上げ、読者に自分の事として考えさせ、緊張感を与えるというのは悪くない。
ただ、逆にそういう方向から見ると、想定される読者が男性である小説で女の子のキャラにそれを語らせるのはどうかと思う。まして読者の視点・代理人の立場にあるキョンはその状態を既に卒業(クリア)している。読者には、安全な所、高い所から苦しんだり悩んだりしている他者を見たり助けたりする立場が優先的に与えられており、自分が苦しんだり悩んだりする必要は無い。
せめてハルヒの言う事がもう少しわかりにくければ、キョンを通して「苦労して他者を理解する」という実感があっただろうに。一から十まで全部説明してしまったからな。
ハルヒは中途半端な所までしか喋らず、キョンに「わからない。でも気になる」と思わせる。そして、その後の一樹との対話の中でキョンが自力で理解する。
そういう流れの方が、むしろ正攻法だったと思う。