相変わらず主役連中がパッとしない。敵側のターンだから負けが込むのは仕方がないんだが、それを考慮してもやっぱり、もう少しなんとかならない物だろうかと思ってしまう。主役側が不調な分、敵側が絶好調ならまだいいんだが、そういう訳でもないしな。カラスにも朔にも、悪役としての底の浅さを感じてしまったよ。
「今回の主役はアイドル!」という事なのかなあ。まあ、確かに今回は主にテンペスタースが、次いでネーブラが、それなりに漢気を見せていた。
でも、これまでのいきさつを考えると、素直に褒めにくいんだよなあ。大ピンチな状況に颯爽と現れて、自らを犠牲にして皆を救ったのは大した物だが、それまで行方をくらましていた事を考えると少し微妙になってくる。満を持して登場したと思ったらあっさりぶっ壊れやがった。何年も潜伏しておいて、いざ出て来たと思ったら、あっという間。蝉か、お前は――あらためて見ると、こいつのデザインってバルタン星人っぽいな――。結局コアは無事だったというのも、中途半端で少し白ける。
ネーブラに関しても、ボロボロの状態でなお動く様には感動を覚えるが、なぜそこまでボロボロになったかを思い出すと、急に苦い気分になる。その根性をなぜ前回発揮できなかった。傷に耐えている事を誇るより、まず傷を負わされた事を恥じれ。
いずれの場合も、ピンチな状況で頑張ったのは偉かったが、そもそもそのピンチを招いた責任は当人たちにもあるからな。もう少し早く頑張っていれば、そもそもここまでピンチにならなかっただろう。そこら辺を考えると、むしろ苦言を呈したくなってくる。
まあ、それでもこいつらはそれなりに踏ん張ったから、まだいいけどね。肝心の主役機はあっさりと敵の軍門に下りやがった。つーか、あっさりと昔の女を乗せやがった。お前、そこはごねる所だろう。袖にした女と、中途半端に仲良くなんかするなよ――それともあれは、犠牲をこれ以上増やさない為にした、苦渋の選択なのだろうか――。
それにしても、今回は重要な出来事がいくつかあったんだが、どれもその重要さの割にはインパクトに欠けたな。テンペスタースの復活や、雪歩inヌービアムなんかは、「この時が来るのを待っていた」類いのイベントなんだが、いざ起きてみると、思っていたほど重さを感じられなかった。なんでだろう。
詰め方をしくじった、という事か。一話の内に複数の出来事が起きているんだが、それらが上手く収められていない。その為に一個一個の印象、特に先にやった雪歩の一件の方の印象が薄れてしまったのだろう。
あとはやはり、肝心の主人公がOP前に吹き飛ばされて、そのまま最後まで寝ていたからか。起きた出来事に対して、視聴者に代わって何らかの感情を持つはずの主人公が不在だったので、なんか捉え所が無くなってしまったようだ。
どうにも、ここに来て、春香の主人公としての力量不足が祟っているな。別に悪いキャラじゃないし、当人のストーリーはそれなりにしっかり出来ている。でも、それだけではこういった群像劇の要素がある物語の主人公としては不十分なんだ。自分のストーリーはしっかりやりつつも、他のストーリーも含めた物語全体の中心になってもらわなければならないんだが、そういった事を出来る器は持ち合わせていないようだ。他人のストーリーに変に出しゃばって来ないんで、印象は悪くないんだが、主人公としての存在感も感じられない。
テンペスタースに関しては、9話で大見得を切った以上、そもそも春香にとっても人事ではなかったはずなんだけどね。結局、テンペスタースと真美を見付ける為に、春香が何かするって事はなかったな。あの時の「探そう」は「探しなさい」「探したらどうです」という意味で、「一緒に探しましょう」という意味ではなかったという事か。なんにせよ、主人公としての面目を施す機会を、一つ逃がしたな。